挙筋腱膜の固定その2
前回の続き
挙筋腱膜を2~5か所固定するのですが、固定する部位と挙筋腱膜をどれぐらいアドバンス(前転)するかで目の形を調整していきます。
私は、まず左右の瞼の中央の固定を1か所おこなって、必ず座位で左右差を確認しそのあとで左右別々にまぶたの形を確認しながら内側・外側を固定していきます。
ある部位をアドバンスしすぎると、そこにノッチができて目の形が三角形になります。多少のノッチは術後暫くすると解消されますが、程度がきついと術後修正が必要になります。
ノッチができないように、なめらかな瞼の形ができているかどうかを確認しながら手術をすすめていきます。
眼瞼下垂の手術のクライマックスはここにあるのですが、この段階の確認作業は非常に骨がおれる作業です。
左右差、目の形を確認するときに患者さんに座位になっていただかなければならないことや、皮膚も仮縫い固定をいちいちしなければならないので時間がかかります。
それだけ手間をかけても術後の左右差を完全に防止することはできません。
この作業が終われば、最後に挙筋腱膜の端を皮膚縫合のときに縫いこんで重瞼ライン作成になります。
手術時間はprimaryの手術で、左右両側で早ければ1.5時間、調整に手間取ると2時間ぐらいです。
術中に患者さんに座位になっていただく回数は、すくなくとも3回、多い時は7~8回ぐらいです。
これが修正手術のケースになるともっと時間がかかります。
術者、患者さんともにタフな手術になります。