ゴアテックスについて~その1
先日、「ゴアテックス」について質問がありましたので、ブログでも書いてみようと思います。
何をかくそう、私の博士号のテーマがこの「ゴアテックス」なので、ちょっと詳しいかもしれません。
1994年から1995年にかけて「博士号」をとるために大学の実験室でこのゴアテックスと毎日格闘していました。のめりこみ過ぎてたおれて5日間入院したほどです。そのあたりの経緯は「美容外科への道」シリーズで間もなく書くことになりますのでそちらを参照にしてください。
テーマは「ゴアテックス製微小血管を人口吻合器をもちいてラット大腿静脈へ移植した時の経時変化」というものです。
まあこれはどうでもいいとして、「ゴアテックス」は生体材料としてはそれほどめずらしいものではありません。
美容外科では隆鼻術に用いられますが、心臓血管外科では以前から人工血管やパッチとして用いられています。
この「ゴアテックス」の名前は、アメリカのアリゾナにある「ゴアテックス社」の登録商標で、正式名はpolytetrafuluoroethyleneです。
その特徴は、結節とポアによって構成されているその線維構造にあります。
要するに材質のなかに無数の穴があり、穴の大きさによって30ミクロン、60ミクロン、90ミクロン、120ミクロンなどの種類があります。実際医療用に使われているのは穴の小さいものです。
この穴こそが、「ゴアテックス」の最大の特徴になります。
「ゴアテックス」は登山用の服装の生地に使われたり、靴にも用いられていますのでご存じの方もおられると思います。なぜ生体材料としても用いられるかは次号でさらに詳しく書きますので、もうちょっと待っとってちょうだい。