脂肪吸引の仕組み

脂肪吸引術は皮下脂肪を減量することで理想の体形に近づける手術です。
具体的には直径が2~4mm専用の管を皮下脂肪に挿入して陰圧をかけてこれを吸引します。
この操作を部位や向きを変えて繰り返し行っていくことで皮下脂肪が蜂巣状になっていきます。
その段階で皮膚の上から圧迫を加えることで皮下脂肪がうすくなります。

術前と術後の皮下脂肪の様子をイラストにしたものです。

脂肪吸引の流れ

術前診察

脂肪吸引術の成否にかかわりの深いものは「皮下脂肪の厚さ」と「皮膚の状態」です。

患者さんの減量希望部位の皮下脂肪の厚さを立った状態で調べていきます。 皮下脂肪が厚いほどたくさんの脂肪を吸引することができ、減量効果が大きくなります。 患者さんの希望する部位に必ずしも皮下脂肪がついているとは限りません。皮膚のたるみを皮下脂肪の厚さと間違えていることもあります。 皮下脂肪の厚さを測るのにはピンチテストが一般的です。

【ピンチテスト】

特にお腹の脂肪減量手術の際には、皮下脂肪と内臓脂肪を区別する必要があります。
内臓脂肪は腹部臓器の周囲に沈着する脂肪であるため、脂肪吸引の対象外です。
下腿の皮下脂肪の厚さをみるときもふくらはぎの筋肉の緊張をとるため患者さんに座った状態で診察することもあります。

皮下脂肪の浅いところを吸引して皮膚のたるみを予防する方法もあります(superficial liposuctionについては後述)が、術者がなれていないとかえって皮膚表面がでこぼこになります。

STEP
1

術前検査

脂肪吸引は術後に貧血になることがおおいので、術前の血液検査のチェックが必要です。
手術前から貧血が強い人は、手術を延期し貧血の治療を優先します

STEP
2

術前のデザイン

脂肪吸引部位が決定したら、立った状態で吸引する部分をデザインします。
等高線を描く要領で吸引部位の範囲を体表にかいていきます。
次に吸引孔の位置をマークします。吸引孔はできるだけ目立たないところにあけますが、吸い残しがないように1吸引部位に対して複数個あける必要があります。

STEP
3

麻酔

吸引部位や吸引範囲に応じて、麻酔方法を選択します。
麻酔の種類は以下の3種類です。

  1. 局所麻酔
  2. 硬膜外麻酔
  3. 全身麻酔

吸引範囲が手のひら1~2枚の広さまでであれば、局所麻酔で十分ですが、それ以上になると硬膜外麻酔や全身麻酔が必要になります。

STEP
4

チュムセントテクニック

吸術中の出血量を抑え、吸引を容易にするために、手術前に皮下脂肪内に大量の生理食塩水を注入します。(「チュムセントテクニック」の「チュムセント」は「腫脹」、「膨張」という意味です)。

STEP
5

実際の脂肪吸引

当院での施術はまんべんなく綺麗に仕上がるように、直径1.6mm~2.5mmという通常よりも細い管を使用しています。凹凸ができにくいように丁寧に脂肪を取り除いていきます。

通常利き手に吸引管を持って吸引を行いますが、反対の手で常に吸引部位の皮下脂肪の状態を確認しながら吸引を行います。

吸引孔は吸引管による頻回の摩擦での皮膚のやけどを防ぐために吸引孔プロテクターを使用しています。
吸引管は長短・太細・穴の形状によるちがいで合計8本ぐらいを用意し、手術部位、吸引脂肪の状態にあわせて使い分けます。同じところを一度に吸引すると、そこが陥凹しあとで修正が難しくなるため、常に吸引部位をかえながら偏らないように吸引していきます。

STEP
6

皮膚表面の凸凹予防法(Multiple Layer Liposuction)

大量の脂肪を吸引すると、時に予想しない皮膚と筋肉の癒着が起きることがあります。
その結果場合によっては手術後に皮膚の表面の凸凹が生じることあります。

それを予防するために2001年よりMultiple Layer liposuction(論文参照)という方法で手術をおこなってきました。
この脂肪吸引法は、皮下脂肪を3層に分けてそれぞれを順番に吸引する方法です。
この3層の間に吸引されていない脂肪層を少し残すことで、大量の脂肪を吸引しても仕上がりがスムースになるようにできるのです。

STEP
7

当院の脂肪吸引”Multiple Layer Liposuction”の流れ

ず最初に、皮下脂肪の深い部分を、比較的太めの吸引管でデザイン通りに吸引します。 これだけで終了するのが、従来の脂肪吸引です。

次に、細い吸引管を使用して皮下脂肪の浅い部分を吸引します。目立たないように数カ所皮膚を小さく切開し、範囲全体を網の目のように広くまんべんなく吸引します(criss-cross法)。
この段階が、脂肪吸引後のたるみ予防として多くのクリニックで取り入れられているSuperuficial Liposuction(浅層脂肪吸引)です。

そして最後に、中間の層の皮下脂肪を吸引するのが最大のポイント。
3つの層を順番に吸引し、それぞれの層の間には吸引されていない脂肪層を残します。
こうすることで、しっかりと多くの脂肪を吸引しながらも、残した脂肪層が皮膚と筋肉の癒着を予防することで、自然で滑らかな仕上がりを実現することができるのです。

脂肪吸引手術後のケア

1.ドレーン

手術中に大量の生理食塩水が注入されているので、吸引孔を術後24時間程度開放としこれをドレーン代わりにします。術後の腫れ予防の効果もあります。通常、翌日に来院していただき、腫れ・血腫がないことを確認したあとで吸引孔を閉鎖します。

2.術後ケア

術後の腫れを予防し、脂肪吸引の効果を最大にするために、手術部位の圧迫は重要です。
術直後は弾力包帯で圧迫しますが、1週間後から着脱が容易な専用の装具に変えます。
術後3ヶ月はできるだけ装着するようにします。

ところどころ硬い部分には、マッサージを行います。

脂肪吸引の歴史

1980年に吸引管を用いた最初の脂肪吸引手術がおこなわれ、その後、脂肪吸引法は急速に普及します。脂肪吸引法の技術もここ数十年で発展し、より安全に、早く、確実に結果が得られるようになってきています。

脂肪吸引の技術で重要なものは以下のとおりです。

  • チュムセントテクニック
    1990年Kleinにより報告された方法で、「ウェットメソッド」と呼ばれることもあります。脂肪吸引を行う前に大量の生理食塩水を皮下脂肪内に注入し、手術中の出血量が少なくなります。この方法によって一度にたくさんの脂肪を吸引することができるようになりました。
  • 超音波補助脂肪吸引
    1996年Zocchiにより報告された方法で、脂肪吸引に先立って皮下脂肪に超音波をあてると脂肪が軟らかくなり、その結果吸引が容易になります。
  • パワーカニューレ
    吸引管に動力を加えることで、手術者の労力が軽減され大量の脂肪吸引を行うことが可能になりました。
  • レーザー補助脂肪吸引
    術前に特殊なレーザーを皮下脂肪に照射することで脂肪の液状化がおこり、吸引されやすくなります。

脂肪吸引法は現在痩身術の第一選択術式として考えられ、従来の皮膚皮下脂肪を切りとる方法は少なくなってきていますが、皮膚のあまりが多い方や腹壁のゆるみがある場合は直接皮膚を切り取って脂肪も同時にとる方法が必要になることがあります。

脂肪吸引の症例紹介

脂肪吸引の症例一覧はこちら

脂肪吸引の施術料金

上腕(半周)¥220,000
上腕(全周)¥440,000
全腹部¥550,000
上腹部¥220,000
下腹部¥330,000
ウエスト部¥220,000
ヒップロール部¥220,000
臀部または臀部移行部¥330,000
大腿部全周法¥550,000
大腿部全周法+移行部¥715,000
大腿部ポイント法 1ヶ所¥220,000
2ヶ所¥330,000
3ヶ所¥440,000
4ヶ所¥550,000
下腿部¥440,000
背部¥220,000
頬部¥132,000
下顎部¥132,000
頬部+下顎部¥242,000
腹部リダクション¥1,320,000
腹壁形成術¥1,540,000
(大口総院長)
上腕(半周)¥330,000
上腕(全周)¥660,000
全腹部¥825,000
上腹部¥330,000
下腹部¥495,000
ウエスト部¥330,000
ヒップロール部¥330,000
臀部または臀部移行部¥495,000
大腿部全周法¥825,000
大腿部全周法+移行部¥1,072,500
大腿部ポイント法 1ヶ所¥330,000
2ヶ所¥495,000
3ヶ所¥660,000
4ヶ所¥825,000
下腿部¥660,000
背部¥330,000
頬部¥198,000
下顎部¥198,000
頬部+下顎部¥363,000
腹部リダクション¥1,980,000
腹壁形成術¥2,310,000

税込金額

脂肪吸引のリスク・副作用

ごく稀なケースですが肺塞栓などの重篤な合併症の報告があります。
術後できるだけ早い段階で動くようにすることが予防につながります。
脂肪吸引手術による合併症では以下のものがあります。

1.皮膚の下垂

脂肪吸引した場所の皮膚が術後にたれることがあります。中年以上の患者さんで皮膚の弾力が失われている場合には特に注意が必要です。上腕伸側や下腹部、臀部下部に起こりやすいです。深部の皮下脂肪に吸引がかたよるとおこりやすいため、中間層、表層ともにまんべんなく吸引することである程度防ぐことができます。

2.皮膚表面の不整

デザインの間違い、太い吸引管による吸引、吸いすぎ、が原因でおこります。立位による正確なデザインが重要であることと、技術的にはできるだけ細い吸引管で丁寧に吸引することが美しい仕上がりにつながります。