挙筋腱膜その2

まぶたの修正手術になると、ほぼ全例挙筋腱膜に対する操作が必要になると考えています。

挙筋腱膜は何層にも分かれやすい性質があり、一度手術を受けた患者さんのまぶたでは、腱膜の中にも必ず癒着があり真の挙筋腱膜が分かりにくくなっています。

修正手術になるケースでは前回の手術で正しい層に入って手術が行われていることはまずありませんので、一度解剖学的に正しい位置関係になるようにリセットする必要があります。

このときに唯一変わらぬ姿でいてくれるのが眼窩脂肪です。眼窩脂肪を取り囲む組織はがちがちになっていても、脂肪そのものはprimaryの状態と全く変わらぬプリプリっとした姿を保っています。

前回の手術が切開式重瞼術だったとすると、眼窩脂肪は減量されていることが多いのですが、それでもかならず残っています。

これを探し出すことで、解剖学的にそれに一番近い「挙筋腱膜」を同定するようにしています。

前回SMASの上手な作りかたで説明したやり方と同じように、まず眼窩脂肪の全体をみるようにしてそこから逆にそれを包み込む挙筋腱膜や隔膜を同定していくようにすれば、正しい挙筋腱膜へのアプローチができます。

隔膜前脂肪をかき分けて隔膜や挙筋腱膜にたどりつくような真っ向勝負は無謀です。眼窩脂肪にたどりつけず隔膜前脂肪をそれと見誤って失敗するのが落ちです。

眼窩脂肪の一番残っていそうな所から(primaryでなければそれが内側のこともあるし中央のこともあります)手をつけていく事がポイントだと思います。

そうやって挙筋腱膜を探してみると、これもずいぶん奥に引っ込んでいて元々の位置から離れていることが多いようです。

したがって修正手術の場合まず挙筋腱膜の操作が必須でこれを元の位置に戻すことが第一歩になります。

埋没法の術後経過がすごく腫れた経験のある患者さんの挙筋腱膜にも同じことが起こっていることがあります。